「まぶさび」とは、「まぶしさ」と「さびしさ」を掛けあわせた造語であり、新しい風雅の理念「風雅モダン」を示すものとして提唱されてきました。
19世紀後半から今日にいたるまで、数多くの透明素材と反射・反映素材が開発されてきましたが、それとともに、「すきとおり」と「まばゆさ」への美的感性も育まれてきたように思われます。
「まぶさび」とは、そういった美的感性を「さび」の心で受けとめようとするものです。
本展覧会の企画者である篠原資明教授(人間・環境学研究科)は、そのような「まぶさび」の理念を、芸術の理論的・歴史的研究、展覧会の企画、方法詩の創作などを通して、追及してきました。
今回の展覧会では、そうした理論と実践を創造的なかたちで提示します。
展示はおもにつぎの四つのテーマに分けて行われます。
①「さび」と日本的美意識の、ひとつの源流である藤原定家による百人一首の「まぶさび」的とらえ直し。
②小堀遠州に代表される「きれいさび」の世界の「まぶさび」的とらえ直し。
③20世紀以後のアート、デザイン、文学の「まぶさび」的とらえ直し。
④方法詩の作品と歴史の提示。