小倉織は、江戸時代初期より豊前小倉を代表する特産品として、袴や帯地として全国で愛用されていました。立体的なたて縞が美しく、丈夫な錦織物です。その普及ぶりは、明治の文豪たちの著作や幕末を舞台にした小説の中にも数多く描写されていることからもうかがえますが、昭和初期、近代化の波の中で、その技術も途絶え、幻の織物となりかけていました。
しかし、1984年染織家築城則子がこの小倉織を復元、さらに、江戸期の手紡ぎによる小倉織を再現しようという豊前小倉織研究会など、伝統という経糸に現代の作家による感性が織り込まれ、色彩も豊かな小倉織が生まれています。また、小倉織の濃淡の美しいたて縞の特徴を機械織によって広幅で制作した、「縞縞 SHIMA-SHIMA」は、2010年グッドデザイン賞を受賞、経済産業省のジャパンブランドとして海外の見本市にも出展するなど、北九州のみならず、日本を代表する特産品として国内外で注目されています。
このたびの展覧会では、地元に残る明治期以降の小倉織から、現代の小倉織まで、染織の工程と合わせてご紹介いたします。伝えられた技術を用いて、時代に求められる新しい価値観を生み出していくことこそが伝統であり、伝統の技を継承しつつ、常に新しい技法や表現を求めて、生み出されていく縞の魅力をご堪能下さい。
※会期中展示替えを致します。
前期 2/26~3/27
後期 3/29~4/24