天文学的・物理学的な宇宙(outer space)ではなく、森羅万象の世界秩序としての宇宙(cosmos)は、人間の知・情・意の源泉といえます。西洋的宇宙観ではマクロコスモス(宇宙)に対して人間はミクロコスモス=小宇宙とみなされます。一方、漢字としての「宇宙」の意味を漢籍でたどると、宇は空間、宙は時間、すなわち宇宙=時空となります。この展覧会では、私たちが存在する拠り所としての大きな宇宙、そして私たちの内にある小さな宇宙を見つめ、考えさせてくれるような深みと奥行きのある作品を選んで展示いたします。「地」や「海」を自らのイメージへ移転する戸谷成雄や束芋、人の内面や情動を掘り下げるジョナサン ボロフスキー、精神的活動の象徴としての宗教に眼を向ける杉本博司など、多彩な表現をお楽しみください。