この展覧会は、四宮金一の画業を振り返りつつ、最新の大作もあわせて展示するものです。四宮金一は1938年国分寺町(現高松市)に生まれ、1957年高松工芸高校を卒業。その後1964年から本格的に創作活動に入り、絵画制作を行います。同年にはシェル美術賞展佳作を受賞。美術家としての頭角を現しつつ、1977年には現代美術の発信地・ニューヨークへの留学によって、さらなる方向性を見出し、生涯にわたる制作活動の礎を築きます。以後、1982年には日本国際美術展大賞、1986年にはエンバ美術賞展大賞、2002年には、洋画界の最高峰の公募展である小磯良平大賞展大賞を受賞します。
絵の図柄のかたちに変形させたキャンバス-シェイプド・キャンバス(shaped canvas)に、黄い色調で剥がれ落ちそうな壁、表情のわからない人影などを描きこむその作風は、ゆるぎなく四宮金一のスタイルとして、今日、広く知られています。画面はわれわれを不安に駆り立てますが、それはわれわれに呼びかける未来への警鐘でもあり、一縷の希望へ繋げようという作者の強い意志の表れといえるものです。