国立民族学博物館を創設し、初代館長をつとめた梅棹忠夫は、つねに分野をこえて、平易なことばで、斬新な知見をしめしてきました。本特別展ではかれの足跡をたどりながら、その思想の先見性や実効力をあらためて発見していただきます。タイトルのウメサオタダオというカタカナ書きは、そうした先覚性や革新性をあらわしています。
名著『知的生産の技術』(1969年岩波新書)ができるまでの、カード、こざね(メモの連なり)、直筆原稿など、すべてを初公開します。また、著作集全22巻をおもにとりあげ、どのような観察記録から生まれたものかを復原します。
日本のいかなる問題も、もはや日本だけで解決することのできない現代において、わたしたちにもっとも必要なことのひとつは、世界に対する好奇心ではないでしょうか。
あくなき好奇心を発揮し、世界をあるき、ひらめきをのがさず、未来を想像し、文明論を構築していった、知的先覚者の軌跡。それは、みなさん一人ひとりに、混迷の時代をこえて未来をつくる羅針盤をきっとしめしてくれるにちがいありません。ウメサオ流世界のあるきかたのツボを、どうぞ、つかまえにきてください。