京都国際マンガミュージアムでは、世界に通用する日本マンガの魅力を可能な限りありのままの形で後世に伝えるため、極めて原画作品に近い複製<原画'(ダッシュ)>を作成するプロジェクトを進めてまいりました。原画'を活用した「原画破損・紛失の恐れがない展覧会」も積極的に行っております。
このたび、原画ダッシュプロジェクトでは、新たに2人の作家の原画ダッシュを制作しました。一人は、少女マンガの黎明期より活躍し、華やかな画風と骨太な人間ドラマで、今も活躍中のわたなべまさこ。もう一人は、5年という短い作家生活だが、多彩な作品を残した夭折の作家、花郁悠紀子。対称的とも言える二人の作家から生み出された作品の数々を、原画'で公開する展覧会を開催いたします。
わたなべまさこは、少女マンガの黎明期より活躍し、デビューから50年以上、今もなお描き続ける作家だ。数奇な運命に翻弄される少女たちのドラマを、読者の憧れを誘う華やかな絵で描き、人気を博す作家である。サスペンスにホラー、一筋縄ではいかない登場人物...。先の読めない展開に、読者はどれほどワクワクしたことか。現在では、中国の長編小説「金瓶梅」をマンガ化し、大人の幻想の世界を描いている。
花郁悠紀子は、わたなべまさこに対し、たった5年という短い作家人生で終えた夭折の作家だ。しかし、その短い作家生活でありながら、ファンタジーから人間ドラマまで、彼女の作風は幅広く、今も読者の心に強く残り続けている。緻密かつ抜群の色彩センスは、死後30年経った今も全く色あせない。
そんな二人の作品をおよそ60点、を、原画'にて公開する展覧会を開催いたします。掲載雑誌などではわからない、細やかな描線や絶妙な色使いに驚くことでしょう。