印象派の画家として名高いクロード・モネ(1840-1926)は、42歳の頃より、パリの北西約80キロに位置するセーヌ川右岸の小村ジヴェルニーに移り住み、数多くの名作を残しました。
典型的なフランスの田舎の小村であったジヴェルニーは、モネの《積みわら》や《睡蓮》などによって世界的に名が知られ、芸術家たちを引きつけるようになり、1915年頃までには、19ヶ国、通算300人以上の芸術家が訪問するような「芸術家コロニー」へと発展しました。日本からも岡山にゆかりの深い児島虎次郎が1920年にジヴェルニーを訪れてますが、訪問者の70%以上を占めていたのは、アメリカからやってきた画家たちでした。彼らはモネの影響を受けつつも独自の表現を追い求め、さらに装飾的な印象主義を展開していったのです。
本展覧会は、モネによる11作品とジヴェルニーの画家たちによる63作品、計74点の油彩画によって、ジヴェルニーにおけるモネの印象主義の展開を辿りつつ、「芸術家コロニー」の大半を占めたアメリカ人画家たちの創作活動を展観するものです。印象派の巨匠モネの作品と、日本ではあまり知られていないアメリカ印象派の画家たちの作品を併せてご覧いただくことによって、ジヴェルニーで繰り広げられた活発な芸術活動に思いを馳せてたいただければと思います。