大阪出身で、戦後のグラフィック・デザイン界を代表する作家として活躍した早川良雄氏(1917-2009)の、ポスターの仕事をふり返る展覧会を開催します。
早川氏のデザイナーとしての出発点は、戦前の三越百貨店時代にまでさかのぼります。戦時中は5年に及ぶ中国大陸での兵役を経て、復員後の1948年からは、近鉄百貨店宣伝部に勤務しました。1951年には、亀倉雄策らと日本宣伝美術会を結成し、1955年には国際グラフィックデザイナー連盟初の日本人会員となりました。
1954年に早川良雄デザイン事務所を開設し、独立して以降は、長年にわたり東京と大阪を拠点に、ポスターだけでなく本の装丁やパブリック・アート、「顔たち」や「形状」シリーズに代表される絵画作品など、幅広い創作活動を展開しました。それら日本の伝統美を意識させる斬新なデザインは、海外でも高い評価を受けました。
今回60点を超える出品作の大半は、1999年に、早川氏本人より寄贈されたものです。早川氏と当館とは、1977年に、当館が万博記念公園に開館した際、開館ポスターとロゴタイプの制作を依頼して以来のつながりがあり、2004年の中之島移転の際には、新しいシンボル・マークの制作もお願いしました。
このたびの展覧会を通じて、皆さまには、早川氏のポスターの、時代ごとの変遷をご理解いただくとともに、そのイラストやデザインの特徴でもある、ユーモラスで大胆な造形美、独創的な色彩感覚をご堪能いただけるものと確信いたしております。