海上交易によって栄華を極めたヴェネチアは、常にあらゆる地域から人だけではなく物や情報が行き交っていました。
13世紀から14世紀には、長期間にわたる航海から帰還した喜びをカーニバルという非日常空間と結び付けます。仮面を着けて仮装をし、盛大に飲食を楽しむカーニバルの舞台に、イスラム、ラテン、ゲルマン等の文化を取り入れ、融合させて登場させたのです。
このような歴史的背景はヴェネチアン・グラスの技法に多大な影響をもたらし、イスラムのエナメル彩や中国磁器を模した乳白ガラスが盛んに制作されるようになります。また、美しいものを積極的に取り入れていくその姿勢は、水晶のように透明なクリスタッロといった新しい技法を生み出しました。
本企画展では、多彩な文化を集約して発展させたヴェネチアン・グラス約53点を「ヴェネチアという舞台」、「世界からの客人、世界への使者」の二部構成でご紹介いたします。