新春の木城えほんの郷は、日本の物語絵の伝統をふまえて、現代絵本の世界に新しい物語絵の世界を切り開いて最も注目される画家・斎藤隆夫さんの絵本世界をお楽しみ下さい。
齋藤隆夫さんは、版画家としての仕事を深めながら、長野県の青木村に移り住み、絵本の仕事を始めました。
91年、日野十成さんとのコンビで、アメリカ先住民に伝わる昔話『カガカガ』を絵本として初めて手がけ、92年にはドイツのゲーテのバラードから『まほうつかいのでし』(小学館絵画賞受賞、上田真爾子 文)を、99年には、西アフリカ、ニジェールの昔話から『おおぐいひょうたん』をだします。2002年の、日野さんとのコンビ3作目『かえるの平家ものがたり』(木城えほんの郷のコレクション)は、この年に出版された多くの絵本の中でも、日本の物語絵の歴史の中に新しい一歩を加える現代絵本の傑作として高い評価を得ました。「いつか、かえるで絵本を作りたい」と何年もスケッチをかさねたという齋藤さんの絵本原画の仕事は、天性の職人ともいえる緻密な絵画技法と構成力に裏打ちされた、絵本原画ならではの醍醐味があります。
今回は、『おおぐいひょうたん』『かえるの平家ものがたり』のほかに、日本の昔話『かえるをのんだととさん』、『ずいとんさん』など、描かれた昔話の画面からは、西洋のもつ重厚さと日本の物語絵の時空を感じさせる、齋藤隆夫さん独特の絵本原画の世界をお楽しみください。