現在も刊行が続く「層雲」は、1911年に荻原井泉水が創刊した俳句雑誌です。「ホトトギス」と肩を並べる伝統ある俳誌で、来年の2011年には、創刊から100周年を迎えます。定型や季語にとらわれない自由律俳句を提唱し、生涯それを追究した井泉水は、1976年に歳で没するまで、同誌を通じて、句作に励むとともに、尾崎放哉や種田山頭火らら多くの優れた後進を育成しました。「層雲」は井泉水亡き後も遺志を継ぐ門弟によって発行され、同人たちは各地で盛んな活動を展開しています。
荻原井泉水文庫を所蔵する当館では、100周年を記念して、「層雲」の歩みを振り返る展示を行います。ご遺族から寄贈された約10000点に及ぶ同文庫コレクションを中心に関連資料を精選し、同誌が近代俳句史に刻んだ功績の数々を紹介します。