中山義秀(ぎしゅう)(1900~1969)は、長い修業と模索の時代を経て、1938年(昭和13)に「厚物咲(あつものざき)」で芥川賞を受賞し、さらに翌年発表の「碑(いしぶみ)」で作家としての地位を確立しました。1943年、鎌倉に転居ののちは、没するまでこの地に住んで、剣豪小説ブームの先駆けとなった「新剣豪伝」や、晩年の名作「咲庵(しょうあん)」「芭蕉庵桃青(ばしょうあんとうせい)」などを執筆しています。今回の展覧会は、時勢に媚びることなく、厳しい人生観照のうえに清冽な抒情漂う独自の文学世界を築いた義秀の生涯と作品を、2004年(平成16)にご遺族から寄贈された中山義秀文庫の資料を軸として紹介するものです。