かつての京都府北桑田郡京北町は,平成17年(2005)年4月,京都市右京区のまちとなりました。今年,京都市編入合併5周年を迎えたことを機に,山間のまち京北の,歴史と文化と学校教育を紹介する展覧会を開催することにいたしました。
紅葉で名高い高雄から,いくつかの山を越えた,懐かしさを感じる山里 京北は,冬季には雪に覆われることもしばしばですが、北山杉に囲まれ,清流が流れる,自然が多く残った美しい地域です。京北の産業の特色でもある林業は,山から切り倒した木材を京の都に運ぶために,川で筏を組むという文化を持ちました。一方,トンネルの開通は,京北に暮らす人々にとって大きな喜びであったろうと想像できます。
時代祭の「維新勤皇隊」のモデルとなった「山国隊」の藤野斎が,山国の地に私塾を設けるなど,京北の教育の歴史は,幕末維新期に各地にできた寺子屋や塾に始まります。明治2(1869)年に開校した京都市中の番組小学校を前例に,京都府は郡中に対しても,明治4(1871)年11月に小学校設立奨励の告示を発し,明治6(1873)年には,京北地域に分校を含む9校の小学校が設置されました。そしてその校名は,後の京都府知事槇村正直をはじめ,京都の教育行政を先導した人々が命名し,揮毫した校名扁額が残されています。近年,6校あった京北の小学校は3校となりましたが,林業の町らしい,木のぬくもりを大切にした校舎で,のびのびとした教育が行われています。
この企画展をご覧いただくことで,京北地域の魅力を,より深く理解していただければ幸いです。