「絵の彼方」によせて
京都精華大学で洋画を2006年に卒業した川北ゆうと山元彩香による展覧会です。
タイトルに掲げた「絵」はイメージのこと、または表現の一種の形態のことなど広い意味を指します。「彼方」は遠く向こう側や背景などの意味を指しています。
2人は在学中に「絵」はイメージのみならず多様な背景や意味があることを認識し、様々な表現に向き合いました。
川北は植物や壁のシミなどを絵に置き換えることをしていました。その制作行為の中で対象物には絵画に表しきれない要素があることに気付き、現在のように画面自体に瑞々しい行為の存在を定着させるようになります。
山元は自身の体が直接関わる絵画やパフォーマンスで制作をしていく中で、意思とは無関係に現実を曝してしまう写真の性質に惹かれ表現を深めてきました。現在はその性質により生み出される違和感を抽出したポートレイトを制作しています。
今展覧会は川北の平面作品と山元の写真作品で構成します。
それぞれの作品は「絵」というものから、少し離れた場所にありますが、各作品は「絵」を見つめてきた足跡が香るようなものになっています。
ひとつひとつの画面に広がる世界により、その「彼方」へと視線を注ぐ機会に繋がることを願います。