山口蓬春記念館では、日本画家・山口蓬春(1893-1971)が蒐集した美術品の一部を山口家より寄贈を受け随時展示公開していますが、その内容には仏画・やまと絵・水墨画・琳派・文人画や中国・宋元時代の花鳥画など各時代の優れた絵画を見ることができます。蓬春は著書の中で「自分は新しい日本画を創作するのだから、過去の日本画はかえり見る必要は無い、と言うような考えは、浅はかな考え方である。」 (山口蓬春「古典への関心」『新日本画の技法』〈昭和26年〉より抜粋) と述べており、東京を始め、京都や奈良にある古名画の類を機会あるごとに観るだけでなく、それらの模写も多数行っています。古今東西の美術に対する研究は、新芸術創造の糧として蓬春の多岐に亘る画業を支え続けたのです。
本展覧会では、蓬春が蒐集した中世から近世にかけての美術品や蓬春の本制作および研鑽の偲ばれる模写を展示し、蓬春の古典研究の軌跡を探りながら、時代を超越した古画の魅力に迫ります。