徳川家康による天下統一後、江戸幕府は各種制度を整備していくなかで、金・銀・銭の三貨からなる貨幣制度(三貨制度)をつくりました。
中世には国家による貨幣は発行されず、中国からの渡来銭が広く流通していました。戦国期にはその流通は混乱し、人々は撰(えり)銭(ぜに)を行うようになりました。一方、戦国大名の鉱山開発により、各地で金銀貨がつくられるようになりました。そうしたなか、徳川政権は、品位や量目などを統一した金貨(大判・小判など)・銀貨(丁銀など)・銭貨(寛永通宝)を発行しました。
本企画展では、17世紀前半に江戸幕府が三貨制度の枠組みを固めていく過程を、戦国大名の政策継承や貨幣の製造体制整備などの面から、最新の研究成果を踏まえてご紹介します。あわせて、江戸初期に日本の金・銀・銭が海外へ大量に流出した実態と、幕府の貿易・外交政策上の対応についてもご紹介いたします。
江戸幕府がつくった貨幣とともに、戦国大名の金銀貨や家康の遺産とされる分銅金、佐渡鉱山関係の絵画資料など、当館所蔵の多彩な資料を通して、家康が生み出した貨幣史上の新たな時代への飛躍をご覧頂ければ幸いです。