不老長寿、子孫繁栄、富貴など、吉祥の意味合いが重ねられたモチーフは、鶴、亀、松竹梅、牡丹、宝珠と実にさまざまで、幸せを願う人々の想いを「かたち」として見ることができます。本展は、新年を迎えるにあたり、おめでたい画題や意匠が描かれた作品を展観し、古来の信仰と風習の造形、その「かたち」をお楽しみいただこうというものです。お正月には、吉祥の絵画や工芸品を床の間に飾り、新しい年の無病息災や多福多寿を祈って、言祝ぐ風習があります。言祝ぐとは、喜びや祝いの言葉を述べること、言葉で祝福することで、寿ぐとも書きます。特別展示室「觀海庵」がお正月を寿ぎ、福を招く場となれば幸いです。現代美術作品と取り合わせた「かたち」の競演とともにご堪能ください。