スガノサカエは自身の作品を、平面・立体問わず 図画”と呼びます。幼少時代から一貫して持ち続けている描くことへの執着と強い信念、 図画”は自身の人生日記のように綴られています。職場だった魚市場で手に入れた各国の伝票シール、空箱、給料明細、植木など身近なモチーフをもとに広がる奇妙な世界は、ちゃぶ台の上の果てしない白昼夢のようです。クレヨン画や水彩画をはじめ、細密なタッチの銅版画やコラージュ、夢を毎日描き留めている「夢日記シリーズ2010」など、憂鬱でビビットなモンスター達が山形より本展覧会に集結します。難解に考えがちな現代の「美術(Art )」という枠から一線を置く極々プライベートな作品群からは、直感的に感じとることの大切さを再認識させられ、〈描くこと=生きること〉という本質的な場面に遭遇することとなるでしょう。本展は回顧展であると同時に、山形で描き続けているスガノサカエ63才にとっての新たなスタートでもあります。