三代徳田八十吉(1933~2009)は、九谷焼の窯元に生を受けました。紺・紫・緑・黄を主とする九谷焼の伝統的な色釉を現代に生かす工夫を重ね、最終的には200色以上を創り出しました。昭和46年(1971)の第18回日本伝統工芸展に初めて出品し、優秀賞を受賞。さらに平成9年(1997)には、高温で色釉を焼成し鮮やかなグラデーションを生む「彩釉磁器」の技術によって、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
本展は、没後初めての大規模な回顧展です。代表作を中心に、修行時代に古九谷を写した作品や、西洋の現代美術に影響を受けた作品、「彩釉磁器」完成以前の過度的な作品などを含めた72点により、創作活動の軌跡をたどります。また徳田が触発された、江戸時代の古九谷・再興九谷の名品13点や、初代と二代の代表作もあわせて展示します。