福田平八郎と辰雄は、福山ゆかりの日本画家、金島桂華、奥田元宋とも縁が深く、今日の日本画壇に大きな足跡を残した日本画家です。
福田平八郎(1892-1974)は、大正期より徹底した写生により物の本質や自然の美しさを、濃厚な質感で写実的に表現し、昭和に入ると、写実に立脚しながら形態を単純化した、平明で装飾的な世界に到達しました。そうした展開の中で、天性の優れた色彩感覚をともなう《鮎》、《紅葉と虹》などの花鳥画や風景画が生み出されました。
また、辰雄(1912-2007)は、戦後、ゴーギャンの生き方に感動し、人間の存在を鋭く追求する重厚な画風を展開しました。《少女》や《雲煙に飛翔》などにおける人物や山々の量塊的な表現や、重層的な空間には、の人間や自然を凝視する高い精神性が感じられます。
本展では、近代の日本画のあゆみに光彩を放った2人の巨匠の足跡を大分市美術館の優れた約90点のコレクションによりたどるものです。