このたび竹喬美術館では、美術史家山岡泰造氏(関西大学名誉教授)が長年収集した中国絵画より、20世紀後半の絵画を中心として紹介する展覧会を開催します。
中国の絵画は、その長い歴史を背景として、近代前夜においては明末清初の個性派から出発し、董其昌(とうきしょう)を含めた四王呉惲(しおうごうん:明末清初の6大画家)によるアカデミズムの確立、これに対する揚州八怪(ようしゅうはっかい:清朝乾隆年間の8人の個性派画家)の反アカデミズムという展開を遂げています。アヘン戦争、日清事変、列強の中国侵略という時代をむかえ、近代の第一世代として任伯年(じんはくねん)、趙之謙(ちょうしけん)、呉昌碩(ごしょうせき)などの画家が登場し、次いで1911年の辛亥革命により中華民国が成立すると、第二世代として徐悲鴻(じょひこう)、黄賓虹(こうひんこう)が出てきます。1949年の中華人民共和国の成立、さらには1966年の文化大革命を経て登場した傅抱石(ふほうせき)など第三世代の画家たちは、従来の価値観を転換した世代であり、水彩画や油彩画も多く制作します。そしてまた1980年代以後の経済成長路線の維持により新たな第四世代が登場し、今日におけるアバンギャルド全盛の21世紀へと至っています。
このたびの企画では、主に文化大革命以後に活躍した画家たちを取り上げて、山水の傅抱石や呉冠中(ごかんちゅう)、花鳥の趙少昂(ちょうしょうこう)、人物の林風眠(りんふうみん)など45名の画家たちによる約90点の作品を展示します。伝統のしがらみを排除して、自由奔放に展開する中国現代絵画の実際の姿をご覧いただけましたら幸いです。