今回の常設展は3つ目的を持っている。まずは、博物館の基盤と言える標本資料に関わる日々の営みの象徴として、標本資料報告集そのものの存在をアピールすることである。展示では、80冊の標本資料報告集を総覧し、またそれら自身をオブジェとし展覧している。(図1)
次に、当館の主要コレクションの窓口として機能するため、植物タイプ標本、古生物タイプ標本、地質鉱物標本、考古学標本について、標本資料報告集と関連した展示コーナーを設けた。
最後に、中核テーマを人類学とし、日本における「骨」と「先史」の研究史上の「名品」「優品」を一部初公開している。我が国の先史考古学の曙期をまさに担った資料群と、当館が誇る古人骨コレクションの、近年5から10年にわたるキュラトリアル・ワークの成果発表の展覧会でもある。標本の仕事現場は、個々のキュレータならびに大学院生らアシスタントの「表現の場」であり、そのため、「キュラトリアル・グラフィティ」の展覧会名を設けた。