桃山時代から江戸初期にかけて活躍した雲谷等顔(うんこくとうがん/1547-1618)は、独自に雪舟の絵を学んで雪舟末孫を称し、毛利家のお抱え絵師をつとめました。以後、雲谷等顔の一派は江戸時代を通じて毛利家の納めた荻藩を中心に活躍し、「雲谷派」と呼ばれています。彼らの描く水墨画は、雪舟のスタイルを踏襲しつつも、新時代の様式に沿った装飾性豊かな作品が見所です。
当館の所蔵する島根県益田市は萩にほど近いためか、まとまった数の雲谷派の作品が伝来しています。このたび当館では山口県立美術館と共同で、市内にある雲谷派作品の調査を実施しました。本展はこの調査によって明らかになった雲谷派作品の全貌を初めて紹介するものです。
萬福寺の襖32面、杉戸8面、医光寺の屏風など。