横須賀出身の結城英子(1921-2001)は、女子美術専門学校(現女子美術大学)で絵を学び、海老原喜之助(1904-1970)などに師事しました。1944(昭和19)年に結婚。夫が画家として生きることに反対したため、深まる夫婦間の確執に苦しみながらも精力的に制作を続け、自由美術協会展などに出品しました。戦中戦後の困難な状況下、結城は持ち前の好奇心と忍耐力で家庭と自己探求の世界を両立させます。
子供の独立を機に40代で武蔵野美術学園に入学し、今まで溜め込んでいた「描きたい」という欲求をぶつけるように、8年間ひたすら制作に打ち込みました。学校の課題をこなす一方で、次第に植物、街といったモティーフに強い関心をよせるようになります。草花、家屋の連なり、街の風景など身近な対象に目を向け、独自の色彩感覚を発揮した作品を多数残しました。しばしば作品にあらわれる清爽な青は結城が特に好んだ色であり、明快な構成で描かれた植物や風景は、画業後半期の作風を最も特徴づけるモティーフです。
本特集では、画業の再スタートをきった1969(昭和44)年以降の作品を展示し、結城英子の魅力をご紹介いたします。