少年はある日、筆箱の中に不思議な生き物を見つけました。小さな火を噴くその生き物を、少年は“キルル”と名づけます。おじいちゃんはキルルのことをとかげだろうと言いますが、やがて大切な約束を思い出して……。
絵本作家、松成真理子さんの最新絵本『ふでばこのなかのキルル』は、てのひらに乗ってしまうほどの小さな緑の体に、大きな赤い目が印象的なキルル と“ぼく”との交流を描いた心温まる物語。画面を彩る、鮮やかで迫力ある色彩が、ページを繰るたびに読む者を物語に引き込みます。
2001年に『こねこのフーシカ』で絵本に携わって以来、これまでに17を数える作品を発表している松成さん。肩の力を抜いて、思うままに、まさしく自然体で描かれた絵の数々は、画面からあふれだすようなのびのびとした広がりと、大らかな穏やかさをもって私たちに語りかけます。
本展では最新絵本『ふでばこのなかのキルル』を中心に、男の子とどんぐりの成長、交流を描いた感動作『まいごのどんぐり』、“じいじ”がうれしいことがあるたびに植えた桜が美しく鮮やかな『じいじのさくら山』、犬とぬいぐるみの優しさが伝わる友情物語『くまとクマ』、自然の摂理と命の大切さを描く『かえるのじいさまとあめんぼおはな』など、7作品から約50点の絵本原画を展覧します。優しさのなかにも力強さを感じる作品の数々を一堂にご覧いただける、初の個展となる本展にぜひ足をお運びください。