この度、昭和30年代にマンガ家として出発し、40年代に小説の挿絵や本・雑誌の表紙にイラストレーションを発表、細密な描線とショッキングな色彩で異彩を放った杉村篤氏の昭和30~50年代の業績を紹介する展覧会を下記のとおり開催します。
本・雑誌の表紙や小説の挿絵など、出版文化の中で主に活躍する「イラスト(レーション)」は、1枚の絵の中に,絵としての美しさや存在感だけでなく、物語や世界の広がりを感じさせるという点では、カートゥーン(風刺漫画)に通ずる部分もあると同時に、表紙や誌面で文字と調和しつつ彩りを添える,デザイン的な魅力も重要で,その他の絵画とは異なる独特の性質を持っています。氏は、まだ日本で「イラストレーション」という言葉がほとんど知られていない時代に、横尾忠則氏や宇野亜喜良氏らと同様に、絵画・マンガ・デザインにまたがる、「イラストレーション」という新たな領域を切り拓いた先駆者の一人であり、本展では、氏のマンガ作品からイラストレーション作品までを紹介します。