大胆にして、繊細。鮮烈でありながら、優美。まさに千変万化の作風。
昭和35年(1960)のデビュー以来、村上豊は、様々なモチーフ、さまざまな技法を縦横に駆使して、まさに多彩にしてオリジナリティに満ちた作品世界を、ほぼ独習という形でつくりあげてきました。デビュー以来次々と取り組んだ挿絵、書籍の装幀、絵本の原画などの仕事は、まさに画家としての研鑽の場であったといえるでしょう。
近年その活動は、さらに自由闊達に、さらに情熱を増しています。
人の感情が溢れ出すかのような夢幻の世界。思わず郷愁をかき立てられるリリカルな風景。
野間記念館開館十周年にあたる今回の展示では、村上豊の50年を超える画業の中で描かれた名品の数々を展示いたし ます。画家が、今なお生み出し続けている多種多様な絵画世界の一端を、お楽しみいただければ幸いに存じます。