東山魁夷画伯の偉業を顕彰する施設として平成17年に開館した当館は、この11月で開館5周年を迎えます。これを記念して、特別展「東山魁夷《晩照》《光昏》とその時代」を開催します。
《晩照》(1954年)、《光昏》(55年)、《松庭》(56年)とつづく、東山魁夷画伯が1954年~56年ころにかけて描いた作品の数々は、いずれも華やかな色彩と重厚な構成を特徴とし、その前後の時期とは明らかに様相を異にしています。《残照》(1947年)や《道》(50年)といった名作で戦後の日本画壇に一躍頭角をあらわした画伯にとって、これが最初の大きな作風の転換期でした。なかでも日本芸術院賞を受賞した《光昏》は、画業のなかに大きな位置を占める記念碑的作品となったのです。
わずか3年ほどの間に集中する、荘重華麗な作品世界。それはいったい何に由来し、またこの時代は東山芸術のなかでどのような意味をもっていたのか――本展覧会は、「装飾性の時代」に焦点をあてて検証をこころみるものです。