桜井浜江は1908年山形市の素封家に生まれ、女学校時代、絵画制作に興味を持ち、1926年家出同然に上京し、岡田三郎助、里見勝蔵に学びました。独立美術協会の独立展に第一回展より入選し、三岸節子らと女流画家協会を創立するなど女性洋画家の先駆けとして活躍し、精力的に制作を続け、2007年に98歳で亡くなりました。太宰治と交流を持ち、短編小説『饗応夫人』のモデルともされています。
今回の特別展は、甥であり桜井芸術の深い理解者である和田武氏のコレクションを展示いたします。桜井がアトリエで長く愛蔵していたもので、力強い筆致と豊かな色彩の「壺」、「樹」、「花」など代表的な画題が揃い、小品が中心ながら、桜井芸術の真髄が凝縮されたコレクションです。
「心の底から盛り上がるもの 地の底から湧きあがる力 そんな作品にしたい」との心情のまま、桜井浜江が画肌に込めた生命力とその輝きをぜひ、感じてください。