2009年12月、日本画家の平山郁夫氏が79歳で永遠の眠りにつかれました。平山氏は、創作活動と表裏一体をなすものとして、世界各地で危機に瀕している、かけがえのない文化遺産の保護に尽力しました。そして、文化遺産を保護していくためには信仰心と重なる平和への強い祈りが重要であると考え、インドから中国を経て日本に伝わった仏教の伝来過程にも注目し、関連遺跡をくまなく旅しています。
この展覧会では、平山郁夫氏の文化財保護に関わる偉大な活動を顕彰し、その業績をとおして文化財保護の重要性や課題などを改めて広く知っていただこうとするものです。インド・パキスタンをはじめ、アフガニスタン、中国、カンボジアなど、平山氏がことに関心を寄せた仏教伝来の道に沿った仏像や壁画の数々とともに、文化財保護活動の集大成として制作し、薬師寺玄奘三蔵院(やくしじげんじょうさんぞういん)に奉納された畢生の大作・大唐西域壁画を全点展示いたします。