脇田 和氏(1908-2005)は、1908年に東京で生まれ、1923年15歳の時にドイツへ渡り、ベルリン国立美術学校にて絵画を学びます。帰国後は新進気鋭の画家として精力的に作品を発表するとともに、1936年に盟友猪熊弦一郎氏らとともに新制作派協会(現・新制作協会)を創設し、美術界へ新しい風を吹きこみます。
その脇田氏の作風は、生涯に亘り一貫して花や鳥、子どもといった身近な存在をモチーフに制作活動を行ってきました。その対象物へのあたたかなまなざしは、類稀なる色彩感覚と相俟って、見るものを豊かな感性の世界へと誘います。
本展では、脇田氏の80年に及ぶ画業の中より、特に脇田氏が描いてきた鳥に注目し、初期の作品から晩年までの作品を展示することで、脇田芸術を代表するモチーフを一連の流れを通して展観いたします。
また、新制作派協会創立時から親交があり、当館にもゆかりのある佐藤忠良氏が制作された脇田氏の頭像作品《脇田さん》(1993-94年)をはじめ、当館所蔵の鳥のブロンズ作品も併せて展示いたします。