喫驚(びっくり): 意外なことにおどろくこと。
「哲学は驚きに始まる」というプラトン、アリストテレスの言葉を引き合いに出すまでもなく、何かについて疑問に思ったり、探求したりする原動力は、驚きからやってくるといえるでしょう。アーティストが素材と出会ったとき、偶然性が作品の中に取り入れられるとき、作品として何かが形となるとき、そこにはさまざまな驚きがあるはずです。そして、作品を見る側にとっても、アーティストが提示するさまざまなまなざしや切り口は、安定していた世界を揺さぶる驚きのまなざしでもあります。それはひっくり返るほど驚くことではなく、ちょっとした驚きであるとしても、じわじわと社会に広がっていくような驚きの種なのではないでしょうか。2010年の秋のアーティスト・イン・レジデンスでは、この小さな「驚き」についての考察から出発します。