写真家、比嘉康雄(ひが・やすお)の写真展を今冬、沖縄県立博物館・美術館にて開催します。比嘉康雄は1938年フィリピンに生まれ、敗戦後沖縄へと引き上げます。その後、警察官となりますが、1968年の嘉手納基地でのB52爆撃機の墜落事故をきっかけに職を辞して写真家となりました。激動期の沖縄を象徴し、戦後沖縄を代表する写真家の一人と言えるでしょう。
写真家となった初期には沖縄の社会的な現状へと目を向けましたが、宮古島の祭祀との出会いに衝撃を受け、琉球弧の祭祀世界―沖縄の古層に、沖縄人の生活・文化の根となる思想を求めていきました。
今回の展覧会では、比嘉自身が生前、出版のために編さんした琉球弧の祭祀を網羅した写真群「母たちの神」を中心に紹介します。また、会期中にはシンポジウムや対談を行い、彼が求めた思想を、芸術、民俗、哲学などの各方面から多面的に検証します。