一宮市三岸節子記念美術館では、昨年、三岸節子(1905-1999)が没後10年の節目を迎えたことを機に、これまでの展覧会ではあまり注目されてこなかった1930年代から再渡仏する1968年までの画業の前半期に焦点をあてた展覧会を開催します。
三岸節子は、1925年に春陽会第3回展に初入選して以来、70年以上におよぶ画業を積み重ねました。その中でも、前半期に描かれた室内画や静物画にはエスプリの利いた瑞々しい色彩が溢れ、あるいは、対象の本質をあらわにしようとしたフォルムの追求や、コントラストを基調とした画面構成に独自の感性を観ることができます。これらの要素は、1970年以降の作品に大きく展開しており、この約40年間が、まさに三岸節子の画業を培った原点だといえます。
本展では、近年発見された作品を含め油彩作品約60点を展観し、三岸節子芸術の芽生えとその後の展開をたどります。いまなお新しさを感じさせる数々の作品により、その類い稀な女性画家の本質に迫ります。