インカ帝国滅亡から遡ること約500年、今からおよそ1000年前のペルー北海岸・バタングランデ。日本人考古学者・島田泉(南イリノイ大学教授)は、かつてここに、「黄金国家の都」があったと考えた。1978年からこの地の調査にあたった教授は、これまでインカのものと考えられてきた、つりあがった目の装飾を持つ金製品は、この地にルーツがあるという確信にいたる。そして、この文化を「シカン」(先住民の言葉で「月の神殿」の意味)と名づけた。シカン文化は9世紀初頭に興り、14世紀後半までこの地に栄えた。大規模な灌漑用水路、広域貿易、驚くべき彫金技術など、発掘によって明かされていく真実とともに深まる謎・・・。
本展覧会では、島田教授とシカン文化学術調査団(PAS)が30年間に渡って調査・発掘した、黄金製品をはじめとする貴重な考古遺物約200点を展示。シカン文明の興隆から滅亡までを追う。