須木一胤(すきかずたね1873-1936)は本名を治郎吉と言い、明治6年に徳島冨田浦に生まれました。明治33年から脇町中学校教諭となり、図画・地理・英語を教え、同35年から徳島県師範学校教諭として図画を担当し、昭和3年に退職しました。在職中には文部省、東京美術学校、日本美術院などの講習に参加して日本美術史を学び、徳島にひろめました。昭和11年に64歳で没しました。
また一胤は日本画家であり、書もたしなみました。彼が描いた「旧徳島城図」は、かつての徳島城ありさまを髣髴とさせる、数少ない資料として知られています。ほかに、鳥などのすがたを生き生きと描きだした作品が残っています。
一胤の作品と下絵、遺品などは、子孫の方より当館に寄贈されています。これらを通じて、一胤の人となりをしのびたいと思います。