油彩・版画など当館では100点近くを所蔵している大沢昌助(1903~97年)。その父、三之助(1867~1945年)は、東京帝国大学にて辰野金吾の教えを受けた建築家であり、日本の建築界の基盤つくりに尽力し、今日の東京藝術大学建築科を立ち上げた人物でした。三之助は1907~10年ヨーロッパに留学し建築装飾の調査を行ないます。当時の最先端の美術動向に触れ、雑誌などを持ち帰ってきますが、昌助が絵を描き始めたのはそんな父の影響がありました。
画家を志したこともある三之助の残したスケッチブックには、古い寺社や装飾文様の素描のほかに、みずみずしい風景がたくさん描きとめられています。
この展覧会では、建築設計図案や水彩画などにより大沢三之助の業績を検証。教育者として三之助が育てた異色の建築家や美術家たちの仕事も紹介します。また、伸びやかな環境ではぐくまれた昌助の少年時代の水彩画、兄弟で作り続けた同人誌「GOOD HOPE」や“紙映画”など、めずらしい資料も公開します。