現代人は、色に囲まれて生活しています。看板、店頭ディスプレイやインテリア、服の色合いに至るまで、様々なものが色によって装飾され、その存在感を増しています。
しかし、私たちは色についてどのくらい理解しているのでしょうか。
染織家、志村ふくみ・洋子は、自らの人生を色にささげ、はっとするほど色鮮やかな植物染料による紬織の作品を発表し続けています。無意識に色を利用してきた私たちは、圧倒的な色の広がりをもつ「しむらの色」の世界に引き込まれ、色を生み出す自然の営みに畏敬(いけい)の念をもたざるを得ません。
本展覧会では、作品を通して、自然界から生まれる色に対する、日本人の独自の感性に触れるとともに、染織を一生の仕事とした志村ふくみの人生にもスポットを当て、染織家・志村ふくみ・洋子親子の色の世界を紹介します。
写真や映像では伝わらない、しむらの色の美しさを、美術館で体感していただければ幸いです。