モダンガール、モダンボーイたちが行き交った大正期から昭和初期の日本の街角には、この時代特有の自由で活発な空気を感じとることができました。西洋起源のアール・デコやモダニズムの影響を受けたアートやデザインの流行は、時代の先端をゆく彼女たちの装いに際立ちました。直線的でシンプルなシルエットのドレス、幾何学模様や鮮やかな色彩の着物には革新的なエッセンスが詰まっていました。人々は最新のモードをリードした女優や令嬢が登場する雑誌やポスターから衣装だけでなく、小物や髪型、化粧品などをとり入れることで自分自身を表現することに楽しみを覚えていたようです。本展では、大正期から昭和初期(1910-40年代)における日本の和服と洋服、服飾小物や化粧品と併せて、そのモダンな時代を活き活きと今に伝えるポスターや雑誌などの印刷物を展示します。さらに世界にも目を向け、同じ時代に華開いた上海、ニューヨーク、パリを中心としたヨーロッパのモードも紹介する画期的な試みです。さまざまな社会を背景に生まれた女性たちの装いには、いずれも新しい時代の精神を象徴するパワーが満ち溢れています。今もなお、人々を惹きつけてやまないこの「愛すべき良き時代」を再考する機会になれば幸いです。