型染は、紙や木などの型を用いて文様を表現する染色技法の一つです。日本では古くから行われ、着物をはじめ、公家服飾、武家服飾、芸能衣裳など多くの服飾に型染が見られます。日本の型染は、主として文様を彫り透かした型紙を用い、種々の染色技法が施されています。型染の種類は実に多様であり、日本の豊かな染織文化の一端が示されています。
元来、型染は型を用いることによって同じ文様の染色品を量産する技法です。このため、型染には手描きによる自由な文様とは異なり、省略やデフォルメされた文様とパターンの繰り返しなどが見られます。型の使用という制約こそが型染の特徴であり、そこには整然とした文様や反復の諧調など、型染特有の美を見出すことができます。
本展では小(こ)紋(もん)・中(ちゅう)形(がた)・型(かた)友禅(ゆうぜん)・摺(すり)染(ぞめ)・摺(すり)箔(はく)・板締(いたじめ)・燻(ふすべ)革(がわ)などさまざまな型染の服飾を出品し、日本における型染の多様性と、型染ならではの美しさを紹介いたします。