盛期には東ローマ皇帝を捕虜とするほどの強精を誇ったサーサーン朝ペルシア(後226-651年)は、華麗な工芸品の数々で知られています。シルクロード交易によって運ばれたサーサーン朝の工芸品は東アジアの美術工芸にも多大な影響を与えました。
1959年、イランの古物商において偶然発見されたガラス碗は大きなセンセーションを巻き起こしました。正倉院御物の白瑠璃碗とそっくりだったからです。後に、作家松本清張や井上靖がペルシアの文物を題材とした文学作品を発表するなど、シルクロードへの関心は社会現象とまでなったことを記憶されている方も多いことでしょう。
本展では豪華な銀器や華麗なカットガラスなどを中心に、サーサーン朝の美術工芸の精華を紹介します。あわせてシルクロードブームのきっかけとなった円形切子碗発見から約半紀が経過した今日、日本人にとってのペルシア文化をひもときます。