ポーバ絵画とは、ネパールの先住民族であるネワール族の画家が描いた、仏教やヒンドゥーの神仏や曼荼羅などの絵画のことです。その起源は11世紀頃にさかのぼり、独自の様式を形成し、チベット仏教のタンカの成立にも影響を与えながら展開を続けてきました。現在もカトマンドゥ、パタン、バクタプルの三都市で盛んに制作されています。
アジアの現代美術作家を紹介する「現代アジアの作家」シリーズの第5回目となる本展では、伝統的な宗教絵画でありながら、西洋的な陰影表現や油彩技法など、新たな手法を取り入れて展開する現代のポーバ絵画の世界を、30作家約50点の作品で紹介します。1点の制作に数ヶ月を費やすほどの精緻な技術によって描きだされた、華麗でなまめかしい神仏たちの姿は見る人を魅了します。本展は、ネパールの文化に親しむ絶好の機会となるでしょう。