当館で所蔵する中国陶磁は、六朝時代から清時代にまで及び、唐三彩・青磁・白磁・黒釉陶磁・磁州窯の白釉陶・青花(染付)・五彩など、様々なものがあります。
唐三彩は、鮮明な緑釉、褐色釉、透明釉によって彩られた焼物で、主として死者とともに埋葬し、その墳墓を彩る明器として作られました。
青磁や白磁はその静謐な美しさが好まれ、中でも砧青磁と呼ばれた青磁は、最も澄んだ青色の焼物で、その遺品の殆どは日本にあることからも、日本人がいかに好んだかを窺い知ることができます。
天目を代表する黒釉陶器は、日本の茶人に非常に尊ばれました。
また、鮮やかな染付を施した青花磁器(古染付、祥瑞、呉州)や、五彩磁器など多くの中国陶磁が日本に舶載され、日本の陶芸史に大きな影響を与えました。
逸翁は中国陶磁にも多大の関心を示しました。
昭和12年(1937)に朝鮮から中国北部を訪れた際には、博物館や古美術商を見学し、自らの見聞を広げています。
逸翁が蒐集した中国陶磁の多くは茶道具に見立てられ、茶会を華やかにも重々しくも彩りました。
このたびの展覧会では、逸翁の目を通して収集された様々な中国陶磁を展示することで、茶の湯の世界でも用いられた中国陶磁の美をご覧いただきます。