堀文子(ホリフミコ 1918-)は現在の女子美術大学在学中の1941年、新しい日本画をめざす新美術人協会に出品し、戦後も創造美術、新制作協会日本画部、創画会と常に革新的なグループに属し、新しい日本画の創造に邁進し、受賞を重ね、注目されました。1952年には第2回上村松園賞を受賞しています。
近代絵画の造形を追求しアンリ・ルソーなどの影響を感じさせる作品ののち、「霧の野」前後から自然の花や自然を新鮮な感性で捉えた作品を発表しますが、1961年から3年に及ぶ欧米、メキシコ旅行、イタリア・トスカーナでの生活、ヒマラヤやアマゾンなど辺境各地への旅行は、作家の感動となり、旧来の日本画にない技法や自由なテーマで清新な作品を生み出しました。近年は顕微鏡でのぞく微生物の世界や切り絵にもどん欲な作家魂をのぞかせ、90才を超えてなお旺盛な創作活動を展開しています。
一方社会的にも自立した女性作家の先駆けとして幾多の困難をのりこえ、自我を確立した女性としての箴言や人生観は大きな憧憬を集めています。
本格的な堀文子展は関東では2004年以来6年ぶりとなり、公立美術館としては初めての開催となります。初期から現在にいたる代表作、および絵本原画など約80点の作品によって多彩な活躍をみせる堀文子の画業をご堪能ください。