日本画家、髙山辰雄が描いた、言論誌『文藝春秋』(大正十二年創刊)の表紙原画全点を公開いたします。
一九八七年から一九九九年まで、昭和から平成へと世がうつり、二十世紀が終わろうとするまでの十三年間、
ひと月も休むことなく描いた縦横十五センチメートルの宇宙。その数一五六点。
一年に十二点、一つ一つの作品には画家自身による言葉が添えられています。
草木や花、人物、卓上の静物、生き物、空と雲、太陽、月、星、風、・・・・・。
有為転変と共に歳月が流れ、季節がうつろいゆくなかで、画家髙山辰雄が静かに見つめてきたその時々の、過ぎていった光景。
伝統の世界に身をおいてすでに不動の評価を得、伝統を重んじつつも、なおやむことなく前を向いて歩む日本画家が取り組み続けた濃密な作品群は、掌にさえ載るような小ささでありながら、大画面の作品に劣らない感銘をおぼえさせます。
日本画壇の歴史の一画に名を刻んだ髙山芸術の、もうひとつの流れをご覧いただける展覧会です。