さまざまな人の姿を描いた屏風や絵巻、掛幅など室町時代から江戸時代中期にいたる絵画の優品約30点を展示します。
日々の営みや遊び、行事にたずさわる人間の姿、すなわち風俗の表現は、絵画において重要な位置を占めてきました。日本でも古く古墳壁画に宮廷女性の様子が描かれたのをはじめ、物語絵巻の主題や添景として多様な人の姿が描かれ、それらは中世末期以降は名所絵や都市図のなかに散りばめられました。
そうしたなかで、風俗そのものに焦点をあてた作品も制作されるようになりました。とくに桃山時代から江戸時代初期(17世紀前半)は風俗画が飛躍的に発展し、制作された時代を冠して寛永風俗画と呼ばれる作品群も生まれました。
本展では、寛永風俗画の優品「風俗図(重要美術品)や桃山時代の作品「宇治橋図屏風」などに描かれた風俗表現に目を向け、中・近世の絵画を楽しんでいただきます。