世界各地で優れた絵本が数多く出版された《絵本の黄金時代》といわれる1920~1930年代。子どもたちに新しい社会の訪れを伝える絵本文化は、とりわけ新しい移民層と共に生きる多民族・多文化社会の絵本を模索したアメリカと、革命後の新しい社会の役割と希望を伝える手段としての絵本を生み出したソビエト連邦で花を咲かせます。
この展示会では、国際子ども図書館が所蔵する資料に加え、ミュゼ・イマジネール所蔵の貴重資料、合計約220点により、この時期のアメリカ・ソビエトを代表する作品を紹介するとともに、《絵本の黄金時代》を迎える家庭で絵本作家たちが影響を受けた世界的な芸術の潮流を示す作品などを展観いたします。また、特別コーナーでは、同時期のフランスを代表する絵本や、日本の絵本に与えた影響についてもご紹介します。
約80年前、子どもたちに未来への希望を託した絵本たちは、多文化・多民族の“共生の時代”と呼ばれる現代に、どんなメッセージを伝えるのでしょうか。年月を経ても色褪せることのない、時代を彩ってきた名作絵本の数々をどうぞお楽しみください。