南北に長いため複数の気候帯に属し、山地、盆地、平野など変化に富んだ地形を抱えた日本には明確な四季の変化があり、季節に応じた自然景観を楽しむことができます。その中で培われた日本人特有の自然観や美意識は、美術や文学の普遍的なテーマとして表されてきました。とりわけ絵画においては、四季折々の景観や草花が古来より描き継がれ、優れた作品が数多く生み出されています。
本展では、古今東西の会が、版画、書、彫刻、工芸、武具刀剣、写真など、多岐にわたるコレクションで知られる東京富士美術館の所蔵作品約3万点の中から、近代日本画の巨匠たちが描き出した季節感あふれる名品28件41点を展示いたします。文明の発展が特に都市の住民の四季に対する感覚を退化させる中で、本展が失われゆくものへの関心を呼び覚ます一助となれば幸いです。