今回の特集陳列は「多角形のうつわ」をテーマに、伊萬里焼の角皿や角鉢、角瓶や角形の壺、蓋物などを集めてみました。
伊萬里焼の成形方法はロクロを基本として円形のものしか作ることができません。そのため多角形のうつわを作るためには、ロクロで成形したものを型にかぶせて変形させる型打ち成形、板状にした粘土を型にかぶせる糸切り成形、粘土板を貼り合わせる板作り、曲面をカットして平面を作る面取りと、さまざまな技法を用いました。さらに磁器は焼成時に収縮するため、平面を有するうつわはひび割れや歪みが出やすく、生産には技術的な困難が伴いました。このようなことから多角形のうつわには、独特の緊張感を漂わせる製品も少なくありません。
三角や四角、六角、八角、九角、十角と、円形とは趣の違うさまざまな形状の作品を、本展でお楽しみいただきたいと思います。