15世紀には宗教的な主題の中で描かれていた風景画ですが、そのジャンルの確立は豊かな階級からの依頼を受ける専門的な風景画家が登場した17世紀といわれています。
そして、19世紀半ばチューブに入った絵の具の発明が風景画に大きな転機をもたらすことになりました。それまで室内で制作していた画家たちは、屋外へ出てありのままの自然を観察しながら描くことができるようになったのです。
「風景画」は自然の景観を描いたものですが、広域な情景から花や樹木、そこに生息する鳥などに焦点を当てたものや、星や広い宇宙を描いたものまでが風景画といえるでしょう。さらに今日では、写実から抽象表現まで多種多様な表現方法が用いられています。
本展は「 風景 ─ 画家たちの見つめた自然 ─ 」と題して、所蔵作品の中から人気の高いユトリロをはじめとした、画家たちの描いた風景画50点あまりを紹介します。
画家たちがそれぞれの目で見つめてきた『風景』を心ゆくまでお楽しみください。